ではなく、 仕掛かり制限 です。
はじめに
秩序が無いプロジェクト及びチームは、以下のような状態に陥ってることが(経験上)多いです。
- 生産能力に対し、タスクが多すぎる
- タスクの問題の分解が行われておらず、見通しが立っていない
- 突発的な差し込みが多い
これらをコントロール可能な状態にすることが初手やることです。
そのために有用なプラクティスとして 仕掛かり制限 を使います。
また、この記事は Classi developers Advent Calendar 2022 の4日目の記事です。
仕掛かり制限をどのように導入するか
カンバンボードによる仕掛かり状態の可視化
カンバンボードを導入することにより、「今何に取り組んでいるのか」が一目でわかる状態にします。
レーンの名前は「仕掛かり前」「仕掛かり中」「完了」が表現されてればなんでもいいですが、差し込みに対応するにあたり 「中断」 を用意することも多いです。
問い合わせや障害が発生した際、「仕掛かり中」のタスクを「中断」に戻し、差し込みタスクを直接「仕掛かり中」に追加します。
毎日のカンバンボードの確認と評価
毎日チームでカンバンボードを確認し、仕掛かり中のタスクが完了する見通しが立っているか評価を行います。
この評価は(基本)毎日1、短時間で行います。毎日(短いスパン)行うのは、問題の検知と軌道修正が手遅れにならないようにするためです。
何を確認するかと言うと、例えば仕掛かり中のレーンにタスクが数日間残っている場合、何か問題が発生していることが(経験上)多いため、そうなっている理由の深掘りを行います。
深掘りを行った結果、新たなタスクが発生したり、タスクの完了条件の変更を行うことが多いです。
カンバンボードの運用ルール
- (Must) 仕掛かり中のタスクは1人1つに制限する
- (Must) タスクが完了するまで、次のタスクに仕掛かることはできない
- (Should) 仕掛かる際に、1日で完了できるサイズまで分解及び、完了条件の調整をする
導入後
仕掛かり制限によってタスクに優先順位を付けられ、少数の優先順位の高いタスクを完了させることに集中できる状態になった結果、少し先のことを考える余裕が徐々に生まれてくれば成功です。
目の前のことをこなすだけで必死だったチームは、新しいことをはじめる準備ができつつあります。
プロジェクトとチームの目的を見つめ直したり、中長期のことについて考えたり、優先順位は低いが重要な課題に取り組む期間を作るなどして、プロジェクト及びチームを新しい段階に移行させていきます。2
Q&A
Q: それはスクラムではない
A: スクラムの話はしてません。
Q: 優先順位つけるのって言うほど簡単じゃなくない?
A: YES
プロジェクトに求められてること、チームメンバーの生産能力、関係性、ヒエラルキー、隠れた要求などを把握する能力、それらを把握した上で決断をする胆力が求められます。言うほど簡単ではない。
Q: イテレーションの計画やふりかえりは行わないんですか?
A: 行わないことが多いです。
計画やふりかえりが機能しているのであれば、このようなことをしなくても秩序が備わってる可能性が高いです。計画、ふりかえりは言うほど簡単なものではありません。
それよりも、ミーティングの時間を減らすことが有効に機能することの方が多いです。
参考
- DevOps 測定: 仕掛り制限
- トヨタ生産方式
- The Goal
- 制約理論
- カンバンボードとは?
- 始めるのをやめよう。終わらせることを始めよう。
- エラスティックリーダーシップ ―自己組織化チームの育て方
- 組織デザイン
- ソフトウェア開発者に必要な考え方
Classi developers Advent Calendar 12/5 は kaori_cho さんです。どうぞお楽しみに。